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親知らず抜歯について

 「親知らず」とは俗名で、正式には“第三大臼歯(ダイサンダイキュウシ)”あるいは“智歯(チシ)”と呼ばれています。

 

 なぜ、親知らずという名称が一般的に使用されているかと申しますと、これには諸説があるようです。まず、親も知らない頃になってやっと生えてくる歯であることから、これが親知らずの名前の由来となっているとの説。戦前までは公衆衛生の遅れ等から人生50年というのが一般的であり、親知らずが生えてくる頃(17〜18歳前後)には、親は既にいない。すなわち、孝行(親)したい時には親はなしという説です。また、知恵がついてから生えてくるという意味で「智歯」とも呼ばれています。

 その他には、「知恵熱」小児の乳歯が生えるころ起こる熱病、などもあるようです。

親知らずが先天的・後天的に欠如(存在しない)している方もおられます。 

 親知らずは、顔の真ん中(正中)から数えて8番目という後方に(奥に)存在すること、正常に生えてくることが少なく完全に骨や歯肉の中に埋まってしまったり、あるいは中途半端に顔を出している場合や、前の歯に引っかかっている場合等様々です。このような状況は、食べかすが溜まりやすく、かつ歯磨きしずらいことを引き起こし、結果的に虫歯になったり、歯肉が腫れたり、痛かったり、ひどい場合には顔が腫れたり、口が開かなくなってしまったり、飲み込みもしずらく、熱も出てくるといった状況となります。
 また、生え方が悪いと顎関節症の原因(噛み込んだ場合、顎をずらす原因となる)にも成り得ます。

 炎症がひどい場合(腫れ、痛み、発熱等)には、まず抗生物質の内服(場合によっては抗生物質の点滴治療も必要)治療によって、炎症を抑えていく治療を優先いたします。

 もともと体の一部である親知らずをむやみに抜歯する必要はありません。しかし、以下の理由の場合には抜歯もやむ終えません。

1)親知らずが虫歯で通常の治療が難しい場合。あるいは、親知らずだけでなく、隣接する前の歯にも虫
  歯が及んでいる場合。
2)腫れたり、痛みを繰り返している場合。
3)矯正治療を行う上で親知らず抜歯が必要になった場合。
4)顎関節症の原因の一つと考えられた場合。
5)歯が延びてきて周囲の組織を噛み込んで傷を作っている場合。
6)その他、外歯瘻の原因、含歯性嚢胞の原因、等になっている場合。

 とにかく、親知らずを大切にしていただくには、丁寧な歯ブラシが何よりも大切です。

 上顎(上あご)と下顎(下あご)の親知らず抜歯の比較では、相対的に下顎の抜歯の方が難しい場合が多いです(上顎の抜歯が難しいのは、歯が深く埋まっていたり、歯の生える方向が傾いていたり、歯がボロボロであったり、歯の根が曲がったり・太っていたりする場合です)。それは、下顎の方が上顎に比べて骨が硬く、前の歯に引っかかってしまうことが多いことから、歯肉を切開(麻酔後メスで歯肉を少し切る)したり、骨の一部を削ったり、歯の引っかかりを解除するために、歯を分割(歯を切断すること)したりする必要があるからです。また、骨や歯肉への埋まり方は千差万別であり、抜歯の難易度もこの埋まり方でだいたい決まってきます。したがって、本人の左右、上下の親知らずの状態によってでさえ難易度が変わるわけですから、まして他人と比較することなどできないのです。

 抜歯後の症状は、抜歯の難易度だけでなく、その他にもご本人の全身状態(出血し易い、腫れやすい、等の体質、持病のある場合)、局所状態(口腔内が清潔にされていない場合など)によっても大きく左右されます。以下に抜歯後の症状を列記します。

1)顔面や口腔内の腫れをゼロにすることは不可能ですが、最小限にすることは可能です。
2)痛みは、鎮痛剤でコントロール可能です。しかし、痛みは、だいたい1週間から2週間位持続する場
  合が多いようです。
3)出血。抜歯後出血防止のために、圧迫止血、凝固止血、縫合(NO,3-0黒絹糸)、サージカルコットン
  (止血剤)、タンポンガーゼ(ガーゼに抗生物質軟膏を塗布)等を用いて対応しています。
4)麻痺感。必ず出現するわけではありません。頻度は1%以下です。
5)開口障害、嚥下障害が出現することがあります。これは、腫れの状態によって左右されます。

 とにかく、担当医師より抜歯前の説明を十分に受け、納得し、体調のよい日をねらって抜歯されることをお勧めいたします。これが、いらぬトラブルを未然に防ぐ唯一の方法なのです。抜歯後の注意事項も守ってくださいね。

親知らずに限らず、“歯の移植”についてご存じですか?これは次回、説明させて頂きます。 当医院の親知らず抜歯治療の詳細はこちらをご覧ください。